ツアーボールでありながら、ソフトな打感が特徴だった『クロムソフト』。ゴルフボール担当のプロダクトパフォーマンスマネージャーとして、PGAツアーのトップ選手ともやりとりをするニック・ヨンツ氏に話を聞くと、 「前作(3代目)までの『クロム ソフト』に関して、フィル・ミケルソンやザンダー・シャウフェレもすごく満足してくれていました。特にフィルは、元々、柔らかいボールが好みでしたからね。ただし、今後のボールに求める性能を聞くと、フィルやザンダーだけでなく、米国ツアーでフィードバックをもらった78人のうち、ほとんどの選手から『もっとスピードが欲しい』という声がありました。だから、とにかくボール初速を伸ばすことが、次の『クロム ソフト』の開発テーマになりました」

コアを巨大化、特に『クロム ソフトX』は2倍以上に!
ツアープロが求める最高レベルのボール初速を実現するためには、何が必要だったのか。米国本社でボール開発の責任者をつとめるデイブ・バーテルズ氏に話を聞くと、スピードアップのカギを握っていたのはコアの大きさだった。
「これまでの『クロム ソフト』は2層のデュアルコアにすることで、“柔らかい打感で飛ぶ”というのが特徴でしたが、ツアープロからは柔らかさよりもスピードが欲しいという声があった。だから、まずは多くのツアープロが使用する『クロム ソフトX』についてはデュアルコアからシングルコアに構造を変えて、大幅にコアの直径、体積を巨大化しました。コアはゴルフボールのエンジン部分。だから、大きくすればするだけ、初速が上がります。前作のインナーコアと比較すると『クロム ソフトX』のコアは117%も大きくなり、2倍以上になっています」

その一方で、アマチュアゴルファーには『クロム ソフト』のソフトな打感が好きという声がある。その声に応えるためにデイブ氏は今回の『クロム ソフト』と『クロム ソフトX』は、前作よりもはっきりとターゲット層をわけていると語った。
「もちろん『クロム ソフト』でもコアを34%拡大して、ボール初速をあげる構造にしています。しかし、コアはデュアルコア構造のままです。それは、ボール市場において世界中のアマチュアゴルファーから支持される『クロムソフト』のソフトなフィーリングを継承して、その声に応えるためです」

下左/NEW 「クロム ソフトX」 下右/NEW 「クロム ソフト」 NEW「クロム ソフトX」のコアは117%も大きくなり、2倍以上に。NEW「クロム ソフト」でもコアを34%拡大
デュアルコアからシングルコアになった『クロム ソフトX』、またデュアルコアのままインナーコアを大きくした『クロム ソフト』。コアだけでなく、カバーを限界まで薄くしたり、中間層の硬さに変化をつけたり、両モデルとも構造を一新するほど大胆な設計に挑戦していた。その背景には米国本社にある開発部門だけではなく、ボール生産工場でも大きな改革が行われていた。
4年前からはじまっていた世界最先端のボール工場にするプロジェクト
キャロウェイのボール生産工場の拠点はマサチューセッツ州チコピーにある。ここは、約100年前に当時のスポルディングがゴルフボールの生産を行ったゴルフボールの聖地と言うべき場所。そこで大幅な改革がはじまったのは4年前だった。

工場長をつとめるボールオペレーション シニアディレクターのビンセント・シモンズ氏に話を聞いた。
「現在のCEOであるチップ・ブリュワー氏がボールでもNo.1を狙うために、工場の設備を抜本的に変えて、世界最先端のボール工場にするプロジェクトがはじまったのが約4年前でした。約55億円を投資して、新しい機械などを導入しましたが、最も資金をかけたのがコアを配合するミキシングマシーンです。この装置は地球上を探し回ったもので、ゴム素材の配合する量、混ぜる時間、温度管理などが完全にデジタル化されました。その結果ギリギリまで設計に忠実なコアが生産できるようになりました」

また世界中のボール工場でキャロウェイにしかない設備もあった。
「ボールの均一性をチェックするために、ボールのコアが中心にあるかどうかを確認するX線検査があります。その検査自体は他のボールメーカーもやっていますが、それは二次元の検査。三次元で立体的に検査しているのはキャロウェイだけです。この検査によって、コアが中心から0.2mmもズレない基準の検査ができるようになりました」

クラブ、パターにおいては革新的なテクノロジーによってNo.1シェアを獲得してきたキャロウェイ。ボールにおいてはテクノロジーだけでなく、生産工場として世界最高峰の技術を持つことで、ナンバーワンを狙えるボールを完成させたのだ。
4月に発売される『クロム ソフト』には100年を超えるゴルフボールの歴史を変えてくれそうな予感がする。
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