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最初は4人で始まった実験!?進化し続けるキャロウェイの「AIテクノロジー」開発秘話 | キャロウェイゴルフ公式サイト

最初は4人で始まった実験!?進化し続けるキャロウェイの「AIテクノロジー」開発秘話

2024.01.09 招待する
いよいよ2024年の新製品、「PARADYM Ai SMOKEシリーズ」が発表になりました。名前にあるように、今回ももちろん、2019年のEPIC FLASHシリーズから続くAI設計モデルとなっています。果たして、キャロウェイとAIの関係は、今後さらにどんな発展を見せていくことになるのでしょうか。「PARADYM Ai SMOKEシリーズ」で行われた開発の内容とともに、これまでの歩みをいま一度、振り返ってみましょう。

キャロウェイがAIを導入しはじめたのは、いまから7年前の2016年に遡ります。最初はボールとアイアンで、2017年にはドライバーの開発でも使用が開始されました。ただ、キャロウェイのプロダクト担当である茂貫太郎さんによれば、これらはあくまで、「実験的なもの」だったそうです。

茂貫太郎 キャロウェイゴルフ マーケティング ハードグッズ アジアプロダクトマネジメント シニア マネージャー

「そのころすでに、バーチャルの世界のなかで、モノをつくらずにテストをするということは可能になっていました。でも、それはシミュレーションができるだけであって、結局は人間が結果を見て、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいと修正し、またシミュレーションをするという繰り返しでした。これでは、かなりの時間を要します。そこで、勝手に修正とシミュレーションを繰り返せるようにできないか、という話になり、AIの導入がスタートしていった感じです。担当者が4人ほど配置されて、『まずは、やってみなさい』と」

昨年、チャットGPTが登場したことで、世界のAIに対する認知度は飛躍的に高まりました。それにより、AIは、何かを聞けばすぐに答えを出してくれるものという認識を持っている方も多いかもしれません。しかし、キャロウェイにおけるAI設計のスタートは、そうではありません。

「『これがAIです』というようなものがあって、それを買ってきたのではなく、もともとのシミュレーションシステムにソフトウェアを組み込み、改良を加えてつくっていったものです。インターネットにも繋がれていませんし、人間がさまざまな要素をインプットしながら、そのなかで機械学習をしていって、テストと実験を勝手に繰り返すというプログラミングになっています。最初はインプットの仕方や、何をどのようにインプットすればどんなものが出てくるのかといったこともわからず、感覚的にはいろいろ遊びながらやっていったそうですよ」

もちろんインプットは、「ボールが曲がらないようにしてくれ」「スイングスピードは、毎秒●mです」「フェースのルールは、●●●になっています」といった言葉ではなく、さまざまな文字や記号が無数に並んだコードにして打ち込みます。その数は膨大です。

「打ち込むこと自体もそうですが、大変なのは、何かを間違えるとエラーが起きてAIが止まってしまうことでした。どこが間違っているかを知らせてくれるわけではないので、担当者は全部、最初からコードをチェックしなければいけません。本当にすごい作業ですよね」

また先述のように、どのようなコードを打ち込むかも、大切な要素です。たとえばAIにどんな命令をすれば、求めていた答えが出てくるようになるか、といったことです。

「たとえるなら、インターネットの検索ワードの入れ方みたいなものでしょうか。何かを検索する際、適切な言葉を入れればすぐに求めていた記事に辿り着けますが、適切でなければ、なかなか答えが得られません。聞いた話では、インプットの仕方、AIへの伝え方を学ぶために、あえて飛ばないフェースをつくるということも、やっていたそうですよ」

こういった試行錯誤を繰り返し、2019年に登場したのがAI設計のFLASHフェースを持つ、EPIC FLASHシリーズのドライバー(フェアウェイウッドは、ドライバーのフェースをフェアウェイウッド仕様にして転用)でした。

AI設計のFLASHフェース搭載の「EPIC FLASHシリーズ」のドライバー

「最初はフェースではなくて、金属の丸い円盤みたいなものに対してプログラミングをして、『この円盤にパフォーマンスが出るようなデザインをしてみなさい』という指令をAIに出していました。そうして出てきたのが、裏側がウネウネとした形状のものでした。『何だ、これは?』と、みんなびっくりしたそうです。でも、どうやって分析したらいいかもわからないですし、AIがやったことですから、完成したものから遡っていくリバースエンジニアリングもできません。そこで、実際にこれを応用してフェースにし、ドライバーに装着してテストをしてみたら、パフォーマンスが出たんです。みんな、半信半疑でテストをして、でも結果が出ているから、『なんか、これがいいらしいよ』と(笑)」

2019年に登場したAI設計のFLASHフェース

EPIC FLASHシリーズでは、「ルールを守る。耐久性を確保する。そのうえでボールスピードを増加させる」という3つの条件がAIに与えられましたが、その後、2020年MAVRIKシリーズ、2021年EPICシリーズ、2022年ROGUE STシリーズ、そして今年のPARADYMシリーズと年月を経るごとに、打ち出し角やスピンの最適化、カテゴリー別・モデル別・番手別設計、飛びの3要素の組み合わせの最適化、JAILBREAKテクノロジーの設計、弾道の左右ブレの抑制など、AIが解決した事柄はどんどん積み上がっていきました。ここまで読んでいただいておわかりになるかもしれませんが、これらは何も、可能になったことをあえて小出しにしていたわけではありません。

JAILBREAKテクノロジー 2017年〜2023年までの変遷

「EPIC FLASHのときは、その3要素を入れるだけでいっぱいいっぱいでした。ほかにもやりたいことがあったけれど、インプットの仕方がわからなかったり、エラーが起きて先に進まなかったりしたわけです。でも、やっていくうちに人間側がインプットの仕方や、AIとの付き合い方に慣れていって、より複雑なことができるようになっていきました。それで、この製品群の並びになったということです。いまは、すべてが加速度的に速くなってきて、やれることが増えてきています」

そこには、キャロウェイが使用するスーパーコンピューターのアップグレードも、もちろん貢献しています。シミュレーションの速度を上げ、かつ、将来のエンジニアリングも見越して初めて導入されたのが14年前の2009年。その後、2018年と2020年の2度、性能の強化が図られています。ちなみに、茂貫さんであっても、キャロウェイのスーパーコンピューターを「見たことがない」と、残念そうに語ります。

「見てみたいんですけどね(笑)。カールスバッドの本社に行くたび、どこかな? と気にしているのですが、まったくわかりません。見たことのある人自体、ほとんどいないようですよ。現在のスーパーコンピューターは、すごく能力が高まっています。以前なら数カ月かかっていたバーチャルな試作とテストが、いまでは1日とか週末だけで終わるらしいです」

最初は4人だったAI担当者も、いまは20人ほどの大所帯です。

「ただ彼らの部署はいま、AI専門というわけではなく、未来の技術を考える部門のような感じになっていいます。AIもそうですけど、それ以外にもパターから含めて全部、先々に使えそうなものを研究しています。その部屋に行くと、『何、これ?』っていうものばかりで、『見なかったことにして』と言われることもけっこうありますよ」

もちろん、彼らは技術ばかりの人というわけではなく、ゴルフに対する造詣も相当なものだと茂貫さんは言います。

「みんなゴルフを知っている人たちです。それを前提として採用していると思います。ゴルフもすごくうまいですよ。一緒にラウンドしたこともあるのですが、『いま開発に忙しいけれど、以前は全米アマチュア選手権の予選会にガンガン出ていた』という人も普通にいます。AIでの開発も、ゴルフをわかっている人がやらないとちゃんとつくれないんです。AIが自分で勝手にやって、すべてをつくるというのはあり得ません。やっぱりゴルファーだからこその目やフィーリングを持つ人間がコントロールしてあげないと。プレーするのは生身の人間ですし、人間の価値観に合うクラブづくりをするためには、人間がサポートしないといけないんです」

「Ai-ONEパター」「Ai-ONE MILLEDパター」に採用されたAI設計のインサート

では、これからのキャロウェイにおけるAI設計は、どのようなものになっていくと考えられるのでしょうか。

「いまはフェースを設計する際、AIにヘッド全体のデータを与え、形状などを理解させるのですが、フェース面には穴が開いている状態で、『このヘッドに合うように、この穴を埋めてくれ』という聞き方をしているそうです。フェースだけでやってしまうと、重心などを考慮しなくなってしまいますから。いずれは、ここからヘッド全体の設計にも進んでいくんでしょうね。まだ、いろいろなインプットが足りていないんだと思います。実験はすでにやっているとは思いますが。それと、設計だけではなく、AIでいろいろなことをやりたいと思っているようです。たとえばクラブのフィッティングも、スイングのデータを見てAIがベストなモデルをいくつか推奨してくるとか、そういった状況になっていくのかもしれません」

将来、AIがどんなものをアウトプットするようになるのか、本当に楽しみになってくる話ですが、一方で、インプットされるものにも革新が起こっています。2021年に検証がスタートした、実際のゴルファーのリアルなスイングデータです。

「これまではロボットテストの数値が中心で、インパクトがスクエアなデータをAIにインプットしてきました。でも実際のゴルフの現場では、みんなスクエアに当てているわけではありません。そこに対してリアリティを求めていくことにより、リアルなゴルファーにさらに合うクラブがつくれる、よりゴルファーを満足させられるクラブができ上がるのではないかというのが目的ですね」

このリアルなデータを生かして、初めて製品化されたモデルが、2024年の「PARADYM Ai SMOKEシリーズ」となります。詳細は製品ページに譲るとして、茂貫さんには、この新たなインプットによる効能を説明してもらいましょう。

「今回完成したAiスマート フェースによって、もはやインパクト時のフェース面はスクエアでなくてもいいということになりました。どういうインパクトの形を迎えようとも、このフェースがミスを修正するようにAIが設計していますから、ボールはこれまでよりも安定して真っすぐに飛んでいきます。また、たわみの角度を自在に変えるので、これまでの常識であったギア効果を覆してしまうくらい、曲がり幅は少なく、なおかつ飛距離のロスもありません。さらに、このフェースがスピードも方向性もすべて安定させてくれるということで、無闇に慣性モーメントを大きくする必要もないんです」

Aiスマート フェースにより、新製品からキャロウェイ独自のJAILBREAKテクノロジーが消えたことも、大きなトピックです。

「今回、弾道の補正をより効果的に行うために、フェースの端までしっかりたわませたいということで、JAILBREAKテクノロジーがいらない可能性があるんじゃないか、ということになりました。じつはプロトタイプでも、JAILBREAKテクノロジーのあるタイプとないものをつくっていて、テストをした結果、ないほうがパフォーマンスを発揮するということになりました。いちばん懸念だったのは、やはりボールスピードでしたが、これもきっちり出ています。実際のところ、トライアクシャル・カーボンによってクラウンはたわみづらくなっており、JAILBREAKテクノロジーがなくてもクラウンの膨張を抑えられる面もあるんです」

茂貫さんは、「PARADYM Ai SMOKEシリーズ」を自分で打ったときの驚きを、独特の表現で教えてくれました。

「感覚的に、本当に曲がらないですね。個人的な体験で言うと、ROGUE STやPARADYMでも曲がらなかったですし、すごいと思ったんですけど、これは本当にすごいです。毎年超えてくるから、すごすぎますね。たとえば、PARADYMでやってしまったなという感覚があって、実際のボールも曲がっていたものが、『PARADYM Ai SMOKE』の場合、その感覚が来ても、結果がまったく違います。自分のなかでは、『ああ』と思っているのに、見ている人からは、『ナイスショット!』と言われたりするわけです。表現はよくないですけど、気持ち悪いくらいですね(笑)」

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