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世界へ羽ばたく「日本発」モデル X FORGEDアイアンの開発秘話とグローバル展開の舞台裏 | キャロウェイゴルフ公式サイト

世界へ羽ばたく「日本発」モデル X FORGEDアイアンの開発秘話とグローバル展開の舞台裏

2025.06.25 招待する
キャロウェイの新しい軟鉄鍛造モデル、「X FORGED MAXアイアン」「X FORGED MAX STARアイアン」が正式発表されましたが、振り返ってみれば、初代X FORGEDアイアンの誕生は、いまから18年前の2007年になります。以来、2~4年の間を置いてリニューアルが続けられ、今回の2モデルは言うなれば9世代目です。ここで、これまでの歩みを振り返ってみましょう。

2007年の初代X FORGEDアイアンが開発された背景には、「契約プロを増やすために、ツアー向けアイアンをつくりたかった」という事情があると、キャロウェイのプロダクト担当、石野翔太郎さんは言います。

2007年 X FORGEDアイアン

「多くのプロが好むようなシャープなモデルがラインアップになかったということで、当時の設計者であるロジャー・クリーブランドさんが初代を手掛けました。キャロウェイでは初めてとなる、いわゆる1枚モノの軟鉄鍛造キャビティアイアンというところが最大の特徴で、バックフェース側では2003年のスティールヘッドX・16アイアン、スティールヘッドX・16プロシリーズアイアンから始まったノッチウェイティングシステムが採用されています。トウとヒールに段差をつくって重量を配分しているもので、打点ブレに強さを発揮します。1枚ものと言いながら、キャビティ部分にはメダリオンが装着されていますが、これはウェイトのついていない単純なものです。他のモデルでは、重量配分の調節をメダリオンでもしていましたが、それとは異なります。ある程度、プロ側のフィードバックも入れながら設計しているというところが大きく、トップブレードも薄いですし、オフセットもありません。当時、本当に人気となったモデルで、社内でもこのアイアンをまだ持っている、もしくは使っているという人がいます」

2代目は、2009年に登場したモデルです。バックフェースを見ると、キャビティ部分の形状が上下で同じようになっていることに気づきます。

2009年 X FORGEDアイアン

「デュアルノッチウェイティングシステムです。初代では下側だけでしたが、2代目ではトップブレード側でもトウとヒールに重さを持たせています。初代はトウ・ヒールへの打点ブレに強いようにつくられていたのですが、2代目はデュアルにしたことで、上下の打点ブレにも強くなっているというところがあります。フェースの面積は初代よりも少し大きくなっていて、重心距離がやや長くされたモデルです。ソールも少し幅が広がり、ダフりに強くなっています。全体的に、よりやさしくしようとしたということができます」(石野さん)

キャロウェイのプロダクト担当 石野翔太郎さん

ちなみに当時は、25度以上のロフトの番手で溝の体積や角の鋭さを制限する新溝規制の導入(2010年~)直前ということで、2代目のX FORGEDアイアンには、規制に対応したモデルと対応していないモデルの2種類が存在していました。

2011年の3代目は、名前にRAZRの4文字が加わっています。この年のキャロウェイのメインとなるシリーズには、「RAZR HAWK」という名称がつけられており、その流れを汲んでいると言えます。

2011年 RAZR X FORGEDアイアン

「RAZR X FORGEDアイアンは2代目に比べて、ちょっと小ぶりなヘッドになっていて、多少フェース長を短くしている一方、重心高を上げており、打ち込んでいくようなプレーヤーに向けたものとなっています。重心を高くするべく、ソールに近いところの段差に切り込みが入れられているのがわかります。このモデルでは、完全に新溝規制に対応しており、CC(Condition of Competition)グルーブとなっています」(石野さん)

2013年のX FORGEDアイアンは、名器として強く印象に残っている方も多いかもしれません。プロにも大人気で、キャロウェイ・スタッフプレーヤーの石川遼プロが長年愛用していたことでも有名です。

2013年 X FORGEDアイアン

「2013年モデルも、小ぶりな設計にしていて、ここからI#7のロフトが33度になっています。従来よりも1度立っています。当時のウッド系が非常に飛ぶようになってきて、アイアンでも少し距離を埋めようということで採られたものです。ロフトが立っている分、球の止めやすさ、上がりやすさを意識して、重心を少し下げるように設計しています。またバンスは、どんなライにも対応できるよう、少し丸みを持たせた形状になっているところも特徴の1つです」(石野さん)

次のX FORGEDアイアン(2017年)は、リニューアルまで4年の月日がかかっています。これは、APEXシリーズの存在が関わっています。

2017年 X FORGEDアイアン

「2014年にAPEXシリーズのアイアンが登場したことで、アメリカではどちらかというとそちらをツアー向けに展開していったというところがあります。APEXは複合素材のシリーズという位置づけですが、マッスルバックのAPEX MBアイアンもありましたから。一方、日本では1枚モノの軟鉄鍛造のキャビティバックモデルが欲しいということで、こちらから指示をしながら、アメリカ側にサポートを受けてつくったのが、2017年モデルになります。ここから、『X FORGEDアイアンは日本発の企画』という流れが始まったという感じですね」(石野さん)

この2017年モデルは、再び、やさしさを求める方向にシフトした設計となっています。

「少しヘッドが大きめにつくられています。ただ、肉厚部分を残してソフトなフィーリングも持たせたいということで、バックフェース下部の形状がノッチウェイティングシステムと2024年のX FORGEDアイアンの複合のようなつくりになっているところが特徴的です。また、ラフからのフライヤーを抑えようという意図から、ウェッジに採用されてきた20Vグルーブの溝が初めて採用されています。このアイアンもけっこう人気で、これにスイッチした契約プロも多かったですね」(石野さん)

2019年は、X FORGEDアイアンのリニューアルがなく、X FORGED STARアイアンが初登場となりました。

2019年 X FORGED STARアイアン

「従来の軟鉄鍛造モデルは、I#7のロフトが33度や34度ということで距離が出ないですし、打点ブレに弱く、すぐに飛距離が落ちてしまうというところがあります。X FORGED STARアイアンは、そういった面をカバーしたモデルです。I#7のロフトは、29度でした。軟鉄鍛造でロフトが立っているモデルとしては、業界初と言ってもいい存在かもしれません。ただ、ロフトが立っている分、もっと重心を下げなければいけないという課題がありました。また、女子ツアーも意識しながら、やさしさを求めて少し大きめのヘッドサイズにし、トップブレードもやや厚くしているところが特徴的です。その一方で、オフセットは少なめにし、日本人の好みに配慮しています」(石野さん)

2021年に登場した2代目のX FORGED STARアイアンは、明らかにフェース長が初代のSTARと異なって見えます。

2021年 X FORGED STARアイアン

「初代はトウもヒールも高いデザインでしたが、2代目ではもっとボールが上がりやすくなるよう、重心を下げたいということで、少しフェース長を伸ばし、トウ側も低いフォルムにしています。また、トップブレードの厚みも減らしており、構えやすさもある設計となっています。バックフェースでは打感を意識して、真ん中の下部を肉厚にしたデザインを採用しています」(石野さん)

2024年には、X FORGEDアイアンが2017年モデル以来の復活を果たし、X FORGED STARアイアンとともに現在も大人気となっています。ちなみに、2019年のSTARから3年ぶりの登場となっていますが、これには新型コロナウイルスにより生産工場のラインが乱れたということも影響していたそうです。

2024年 X FORGEDアイアン

「24年にX FORGEDアイアンが再登場しましたが、これは日本側の強い要望です。ブランド自体を完全に日本に任せてくれたということもあり、それならば日本のツアーのフィードバックをふんだんに盛り込んだモデルをつくりたいというなかで生まれました。きれいな見た目というところでデザインがすごくシンプルになっていますし、もっとも特徴的なのが面取りですね。ここまで大胆に面取りを入れているアイアンは、これまでそんなになかったのですが、初めてこれを入れて、一般ユーザーのみなさんからもツアーからも、非常に良いソールができているという評価を得ることができ、爆発的な人気を獲得することになりました」

これまで2024年のX FORGEDアイアンはアジアとヨーロッパでも発売されていましたが、今後はいよいよアメリカでもリリースされるそうです。

「一緒にX FORGED MAXアイアンもラインアップされます。アメリカでも発売されるというのは、日本側としてはうれしい限りです。X FORGEDアイアンに関しては、一般のユーザー以前に、そもそもアメリカの本社内で、『使いたい』『すごいアイアンが出来ている』などといった感じで、日本のアイアンは良いという話になっていました。それに、スタッフプレーヤーのアクシェイ・バティアやミンウー・リーがテストをしたり、ヨーロッパやLPGAで使っている選手がいたりといったことで、けっこうツアーでも人気でしたから。もともと社内での評判が良いというのがあって、日本でも市場で成功しているし、選手たちの要望もあるということで、『じゃあ、やろうか』となったと。そして、そうこうするうちにX FORGED MAXアイアンも企画されて、これも社内の評判が非常に良く、『これも一緒に出そうか』という流れになったと聞いています」(石野さん)

2025年X FORGED MAX STAR(左)、X FORGED MAX(右)

X FORGEDアイアンのシリーズは、基本的にメダリオンなども使わない純粋な軟鉄鍛造を志向しているため、「大きい変化を見せるのが難しいプログラムではあります」と、石野さんは言います。しかし、だからこそなおさら、モチベーションも上がるのでしょう。石野さんは、「やっぱり人気なので、今後も新しい形で何か提供したいなとは思っています」と続けました。今後、これまでのモデルをどのように超え、どんな発展を見せていくことになるのでしょうか。ぜひ、これからのX FORGEDブランドにも、大いにご期待ください。

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