アプローチの神・伊澤秀憲が
新『OPUS SP』を200球打った理由―
「ここまで進化しているとは思っていなかった」

2025.08.27

1.jpg


石川遼をはじめとするトッププロからも「アプローチの神」「世界一のアプローチ」と称される伊澤秀憲。そんな伊澤に今秋発売される新『OPUS SP』ウェッジを打ってもらった。アプローチの神と言われる男は“ウェッジ試打の神”でもあった。

ゴルフサプリ編集部


伊澤秀憲は忖度しない男である。昨年、『OPUS』ウェッジを打ってもらったときも、キャロウェイの担当者や撮影スタッフを前に本音で語っていた。

「スピン性能は十分にありますし、顔もシンプルで構えやすい。ただし、スピンが入ったときと入らないときの差がありました。同じような打ち方で打っているのに、ときどき想定していない球が出るのが怖かった。それとウェットコンディションに課題がありました。(GCクアッド)で計測すると、フェースを濡らしたときのスピン量が想定よりも落ちました。全体的な完成度は高いですし、十分にツアーレベルのウェッジとしての性能はクリアしていますが、ウェットコンディションに課題があると思います」

伊澤秀憲は中途半端な試打はしない。試打をするのは湘南銀河大橋ゴルフ場内にある伊澤秀憲が設計した専用ホール。最大で約80ヤードのショットが打てるだけでなく、様々な傾斜があり、セミラフから全米オープン級の“豪ラフ”、さらにポットバンカーまである。グリーンにもトーナメントコースのような傾斜がある。

2.jpg


午前10時にはじまった『OPUS SP』の試打が終わったのは12時30分。2時間以上にわたって、徹底的に『OPUS SP』を打ち込んだ。それだけ打つからこそ、伊澤は本音でインプレッションを語れるのだ。

3.jpg

写真左がキャロウェイゴルフ(株)のアジア プロダクト マネジメントとして活躍する石野翔太郎。

■キャロウェイのウェッジ史上最大級に重心が高い

最初はキャリーで15ヤード前後の距離からはじまった。

「これは変わりましたね。15ヤード前後の距離でも、フェースにしっかり乗ってくれます。この距離ではあまり差が出ないかと思っていましたが、前作の『OPUS』よりもフェースに乗るのでスピン量が5000回転以上ありました。15球以上打ちましたが、ずっと5000回転前後で安定。前作の『OPUS』だと上手くスピンが入ったときは5500回転くらいでしたが、4000回転前半に落ちてしまうショットもあった。そのバラツキが『OPUS SP』にはありません」

スピン性能の安定感についてキャロウェイゴルフのプロダクト担当・石野翔太郎は、

「今回の『OPUS SP』の一番の特徴はヘッド内部に『スピンポケット』という空洞スペースを作ったことです(※54度以上のモデル)。空洞部分の余剰重量をトップブレードとホーゼルに配置したことで、キャロウェイのウェッジ史上最大級の重心の高さになっています。重心が高くなったことにより、スピン性能が上がったと思います」(石野)

4.jpg

写真左が58度、右が54度。空洞スペースはロフトごとに違う

「重心を高くしたことによって、トップブレードにも良い感じの肉厚感があります。ただし、アドレスしたときには気にならない幅になっていますし、重心を高くしたことによるフェースの乗り感の良さを感じました」(伊澤)

またフェース面上にも新しいテクノロジーが隠されているそうだ。

5.jpg


「表面処理の効果も大きいと思います。前作からさらに進化した17Vグルーブの溝を採用したことによって、フェース面に対して垂直に近い角度で溝が入っています。また、溝の間隔を狭くしたことで、スピン量が安定。さらに新しいテクノロジーとして粗めのレーザーミーリングを施したことでスピン性能を高めました。わかりやすく言うと、かつてのウェッジは溝にひっかかったときとひっかからないときでスピン量に差がありましたが、『OPUS SP』は重心の高さ、そしてフェース面全体のテクノロジーでスピンをかけているので、スピン量が安定するようになりました」(石野)

続いてキャリー30ヤード、40ヤードの距離を打ちはじめた伊澤。休憩するときにはウェッジで華麗にリフティングをしていた。

6.jpg


「実はさきほどのポケットの話を聞いたときに打感が怪しいかなと思ってリフティングしてみました。リフティングしたときは『OPUS SP』は打感が少しボンヤリしているかなと感じました。でも、実際にアプローチをすると『OPUS SP』の方が食いつく打感が心地良かったです。これは打ってみないとわからないところ。リフティングとショットしたときの打感は真逆でした」

さらに50ヤード、70ヤードと距離を伸ばしていくと、スピン量は10000回転を超えてきた。

7.jpg


「このウェッジ、楽しいですね。50ヤード以上になるとバンスの違いがよくわかります。同じ『Sグラインド』で比較したときに、『OPUS SP』の方がインパクトでバンスが効いてくれる感じがして、ボールの下に抜ける怖さがありません。わかりやすく言えばローバンスなはずなのにミドルバンス・ハイバンスのウェッジを打っている感じ。すごくやさしくなったと思います」

次はいよいよウェットコンディションの試打。前回の『OPUS』で伊澤が課題だと指摘したショットだ。

8.jpg


「正直に言うとドライコンディションでの乗り感が良くなっていたので、全く問題ないだろうなと思っていたら、予想通りフェースを濡らしても問題なかった。ウェットコンディションでのスピン量は『OPUS 』だと3000、4000回転くらいだったのが、『OPUS SP』だと5000回転を超えていました。スピン量が2000回転近く変わるのはすごい。このウェッジは打っていて楽しいです」

■ヘッド内部を空洞にした効果で、挙動が安定する副産物も

伊澤の試打はまだ終わらない。フェアウェイが終わるとセミラフ、豪ラフ、さらに順目、逆目からも打つ。ショットもピッチ&ランに近い軌道から、ハーフロブ、ドロー回転など様々なバリエーションを試していた。最後は本場リンクスにあるようなポットパンカーから1.5メートル以上のアゴを超える“神のバンカーショット”を披露してくれた。

9.jpg


「ラフからフェースを開いて大きめの振り幅で打ったとき、『OPUS SP』はヘッド挙動が安定していると思いました。一般的なウェッジはフェースを開いたときに、トップで少し垂れてしまう。それをダウンスイングで調整しようとするので、インパクトでミスが起きやすい。でも『OPUS SP』はヘッドが垂れる動きがないので、上げたところからそのままクラブを下ろしていけます。このウェッジはミスショットの言い訳ができない。ミスしたら自分の腕です(笑)」(伊澤)

ヘッド挙動の安定について石野に聞くと、

「それはスピンポケットの副産物的な効果です。ヘッド内部の重量を外周部に配置したことによって周辺重量配分で慣性モーメントが大きくなり、ヘッド挙動の再現性が高くなったと思います」

15ヤードの距離からはじまって、30ヤード、50ヤード、70ヤード、80ヤード、さらにはウェットコンディション。そしてラフ、傾斜、豪ラフ、順目、逆目、最後のポットバンカーまであらゆる状況で『OPUS SP』を試打した伊澤秀憲にあらためて感想を聞いてみた。

10.jpg


「楽しかったですね。まず前作から1年でここまで進化しているとは思っていませんでした。打感として一番の違いはフェースの乗り感。このウェッジならスピン系のボールじゃなくても、スピンが効いてくれそう。それと、重心を高くしたことによって、スピン量が安定しただけではなくて、バンスも効いてくれるので圧倒的にやさしい。前作の『OPUS』で感じた想定外の打球が出なくなって、圧倒的にストレスフリーなウェッジになりました」

アマチュアゴルファーにとってのメリットは?

「前作の『OPUS』もプロゴルファーのように色んな技を使えるのであれば、十分にスピンはかけられたと思いますが、『OPUS SP』はアマチュアに多い上からヘッドを入れるタイプのアプローチでもスピンが入ります。だから、ちょっと上手くなった気分になれる。今まで技術がないとできなかった乗り感とフェースの使い方を『OPUS SP』はサポートしてくれる。これを使うと、アマチュアの皆さんも伊澤のアプローチにちょっと近づけると思います(笑)」

11.jpg


基本的にキャロウェイのウェッジは2年に1度のサイクルでリニューアルされることが多かったが、今回は1年で『OPUS』から『OPUS SP』に。石野さんに話を聞くと「想定よりも速いペースで良い製品が出来たので発売することになったそうです」。

キャロウェイの開発哲学である「明らかに優れていて、その違いを楽しめる」。炎天下での2時間を超える取材でも、伊澤は疲れた様子もなく楽しそうに『OPUS SP』を打っていた。

キャロウェイの進化と楽しさは間違いなく、アプローチの神に届いていた。

12.jpg

いざわ・ひでのり/1991年6月25日生まれ。
神奈川県出身。石川遼、松山英樹の同級生でジュニア時代は同じ試合に出場していた。現在はプロゴルファーからアマチュアまでアプローチのレッスン活動を行い、ジュニア育成に取り組んでいる。
YouTubeチャンネル「アンダーパーゴルフ倶楽部」は総再生回数2800万回を突破。


取材協力 / 湘南銀河大橋ゴルフ
出典元 / GOLFサプリ